ユニバーサルデザイン

認知症に配慮した化粧品容器の新基準―色・触感・形で直感的に識別できるユニバーサルデザインの最前線

認知症に配慮した化粧品容器のユニバーサルデザイン―安心と使いやすさを両立する規格の重要性

認知症患者の日常をサポートする容器デザインの基本原則

認知症の方にとって、日常的に使用する化粧品や雑貨の容器は、思いもよらない混乱の原因となることがあります。同じ棚に並んだ似たようなボトルやチューブが、実は全く異なる目的で使われるものだとしたら、どれを選べば良いのか迷ってしまうのは当然です。この問題を解決するには、ユニバーサルデザイン容器の統一規格が不可欠です。

まず重要なのは「色による区分け」です。例えば、シャンプーは青系、ボディソープは緑系というように、製品カテゴリーごとに一貫した色使いを統一することで、言葉や文字に頼らなくても直感的に製品の用途が理解できるようになります。色覚多様性にも配慮し、単に色だけでなく、色の濃淡や模様の組み合わせも取り入れることが効果的です。

触覚で識別できる工夫と形状の重要性

認知症の進行に伴い、視覚情報の処理が難しくなる場合があります。そこで重要になるのが、触覚による識別です。ユニバーサルデザイン容器において、表面のテクスチャー(手触り)や形状の違いは非常に有効な識別手段となります。

シャンプー容器には波型の凹凸、歯磨き粉のチューブには点状の突起など、触るだけで内容物が分かる工夫が考えられます。また、持ちやすさも重要で、手の力が弱くなった高齢者でも簡単に開閉できるキャップデザインや、滑りにくい表面加工を施した容器は、認知症の方だけでなく、あらゆる世代にとって使いやすいものとなります。

容器の形状そのものも、内容物を連想させるデザインにすることで、言葉を介さずに製品の特性を伝えることができます。例えば、保湿クリームは丸みを帯びた優しい形状、洗浄剤は機能性を感じさせる直線的なデザインにするなど、形から用途を想起できる工夫が有効です。

シンプルで一貫性のある表示とユーザーテスト

どんなに優れたデザインでも、製品表示が複雑では本来の目的を果たせません。認知症に配慮したユニバーサルデザイン容器では、シンプルで一貫性のある表示が不可欠です。

具体的には、製品名や用途を大きく分かりやすいフォントで記載し、使用方法をピクトグラム(絵文字や図記号)で示すことが効果的です。また、一度学習したデザインやレイアウトを長期間維持することも重要です。製品のリニューアルで突然デザインが変わると、認知症の方は混乱してしまいます。

最も重要なのは、実際の利用者による使用テストです。認知症の方々や介護者の意見を取り入れながら改良を重ねることで、真に役立つユニバーサルデザイン容器が生まれます。机上の理論だけでなく、実際の使用環境での検証を繰り返し行うことが、信頼性の高い容器デザイン規格の確立につながります。

化粧品やトイレタリー用品のユニバーサルデザイン容器は、認知症の方々の自立した生活をサポートするだけでなく、すべての人にとって使いやすい製品づくりの基盤となります。製造業者、デザイナー、医療専門家、そして利用者が協力して取り組むことで、誰もが安心して使える製品環境を実現できるのです。